診療録や手術録の記載,学会報告,論文発表や講義の際には正確な学術用語の使用が必須となります。日本外科学会医学用語委員会では過去に「外科的疾患用語集」,「外科手術用語集」および「外科略語集」を編纂してきましたが,これら疾患,手術に関する用語および略語の三つが1冊に纏められたものがあれば有用であろうとのことで「外科学用語集」の編纂が企画されました。なおかつ便利なように英和篇,和英篇,略語篇を1冊に納めることにしました。時間の変化もあり納められている用語は実情に合うように日本外科学会医学用語委員会が10回以上会合を持ち取捨選択したものであり,産婦人科,整形外科,形成外科など周辺領域の用語も取り入れてあります。また,日本小児外科学会の要望により日本小児外科学会編「小児外科疾患用語集」と日本小児外科学会用語委員会編「小児外科手術用語集」に記載されている用語はほとんど収録されています。
収録された用語数は英和約7800語,和英約8,500,略語約1,600語になります。本書がおおいに活用されることを願っております。
最後に本書の編纂に携わった関係各位に深く御礼申し上げます。
平成15年5月31日
日本外科学会医学用語委員会委員長
小林 紘一
1)下記の五つの用語集に収載された用語を基本に医学用語委員会が取捨選択し,現在の外科学諸分野において使用されている用語を収録した。
日本外科学会医学用語委員会編『外科的疾患用語集(第2版)』1995
日本外科学会医学用語委員会編『外科手術用語集(第3版)』1997
日本外科学会医学用語委員会編『外科略語集』1991
日本小児外科学会編『小児外科疾患用語集』1994
日本小児外科学会用語委員会編『小児外科手術用語集』1988
2)薬品名は抗癌剤を中心に最小限の範囲で収録した。
3)略語は臨床実地で広く使用されている語を収録した。
本書は,英和篇,和英篇,略語篇の三部からなる。
1)英和篇は,英文用語をアルファベット順に配列し,対応する和文用語をあげた。略語がある場合は見出し語の次に略語を入れた。
2)和英篇は,和文用語を五十音順に配列し,対応する英文用語をあげた。略語がある場合は英文用語の次に略語を入れた。
3)略語篇は,略語をアルファベット順に配列し,その英文の完全表記と和文用語をあげた。
1)収録用語は英語を原則としたが,ラテン語,ドイツ語,フランス語など他の外国語でも一般に使われているものは収録してある。
2)複合語は,日常よく用いられ,1つの語として重要と思われる用語を収録した。基本語の単純な組み合わせで,容易に訳語を得られるものは省略した。
3)綴りは米国式とし,単数形を原則とした。
4)人名を冠する用語では「’s」を省略した。
5)「a,the」などの冠詞は省略した。
6)生物の学名はイタリック体とした。
1)用字や読み方は,日本医学会医学用語管理委員会編『日本医学会医学用語辞典英和第2版』(2001年,南山堂発行)になるべく沿うこととし,WHOのICD-10(日本語訳)も参考としたが,本委員会の判断によるものもある。
2)外国人名の読み方については用語委員会でも議論が多かったが,なるべく原語の発音に近くなるように心掛けたほか,従来からの慣習も考慮した。
3)手術手技名の末尾に「術」を付して,手術術式名とすることが多い。しかし本用語集では術を省略した。
4)治療あるいはその他の処置,手技名の末尾に「法」あるいは「術」などを付して総括名とすることが多いが,可及的に省略した。
1)配列はアルファベット順とし,ウムラウトやアクサンなどは無視した。
2)ハイフンは空白とみなして配列した。
3)数字や/などの記号,化合物の異性体結合位置などを示す文字や記号などは,原則としてこれらがないものとして配列した。
例:5-fluorouracilはfluorouracilの位置に配列する。
4)ギリシア文字は該当する英語の綴りに直して配列してある。
例:beta(β)-anastomosis
5)省略可能語を示す〔 〕があるときには,〔 〕内の語があるものとして配列した。また,置き換え可能な語を示す( )があるときには,( )内の文字はないものとして配列した。
例:single〔cardiac〕ventricleはsingle cardiac ventricleとみなす。
例:total(entire)colon agangliososisはtotal colon agangliososisとみなす。
1)配列は,発音により一般的な国語辞典と同様な五十音順に配列した。
2)長音符号(ー)はその場合の発音に従い,それぞれの音を表す「かな」とみなして配列した。
3)見出し語に英文がある場合は,その英文の日本語の発音に従って配列した。例:「C型肝炎」は「しがたかんえん」→「しいがたかんえん」の位置に置く。
4)省略可能後を示す〔 〕があるときには,〔 〕内の語があるものとして配列した。また,置き換え可能な語を示す( )があるときには,( )内の文字はないものとして配列した。
( )直前の語と置き換えて用いてよいことを示す。
例:胆嚢摘出(摘除)
〔 〕省略してよいことを示す。
例:cryptorchi〔ti〕sm / 開窓〔術〕
〈 〉略語を示す。
例:pancreatoduodenectomy〈PD〉
《 》補足的な説明などに用いる
例:ostim secundum 二次孔《心房中隔の》
(1),(2)… 1つの見出し語について,複数の意味が異なる訳語があることを示す。
例:decubitus(1)褥瘡,(2)臥位
【ラ】【独】【仏】等 それぞれラテン語,ドイツ語,フランス語等であることを示す。
【形】 形容詞であることを示す。
→ o としました | |
→ c としました | |
→ e としました | |
→ e としました | |
→ e としました | |
→ u としました |